株式会社日東物流

概要

株式会社日東物流は千葉県を拠点とし、関東エリアの一都四県を中心に、24時間体制で主に食品関係の配送をしている会社である。現在の代表取締役の菅原拓也氏は2008年に入社し、創業者である父の跡を継いで代表取締役に就任した。物流業界で働く人はエッセンシャルワーカーでありながら、ドライバーの不足と高齢化、長時間勤務の常態化などが問題視されている。菅原氏は同社ドライバーの起こした居眠り運転による死亡事故を受け、社内でも同じような問題の存在が明るみとなり「コンプライアンスを重視し、従業員が健康に働けるようにしなければ会社の未来はない」と痛感した。

以下、菅原氏がこの問題を改善していくために取り組んだことについて記述する。

決意のある改革

物流業界は労働時間に関してはグレーでなければ成り立たないような時代があった。そこで菅原氏は従業員の労働時間を抑制するために受注案件や営業エリアの見直しをし、例えそうすることで売り上げが減ってしまうとしても、無駄な業務の削減や中距離輸送廃止などを決意した。それだけではなく、取引先を一社ずつ訪れ、労働時間が短くなっても収入が減らないように交渉を重ねた。「運送会社の料金は叩けるだけ叩く」と考える取引先も存在したが、適正なラインに届かないと判断した会社からは撤退を選択した。そのようなシビアな交渉を重ねていった結果として、従業員の収入は減らすことなく、労働時間を抑制することが出来たのである。

健康経営

菅原氏は従業員の健康維持にかける費用をコストではなく投資と認識して取り組んでいる。先ほど挙げた取引先との交渉もこのうちの一つであり、労働時間の圧縮や仕事の効率化によって従業員の負担を減らすことが出来た。他にも健康診断の徹底や、その後の検査費用の負担、定期的にストレスチェックを行うなどして従業員の健康を確保している。また安全推進部ヘルスケア担当を設け、健康に関して短時間であっても面談を行うなどし、従業員の健康意識を高めている。

物流業界に与える影響

以上に記述したように、日東物流はコンプライアンスの遵守と健康経営という全く別の観点を融合し、経営に活かしている。その結果従業員が仕事に対して誇らしさを持ちながら、健康で長く働くことが出来る環境を作り上げることが出来た。しかし物流業界全体を見るとまだまだネガティブなイメージが多い。菅原氏は自社の常識に縛られない改革を通して、物流業界に対するイメージを少しでもポジティブに変えるべく、これからも独自のスタイルの経営を続けていく。

参考文献

従業員の幸せのために、社長はあえて「トラックと売り上げ」を手放した。 健康経営を実践する日東物流の改革ストーリー(第8回GOOD ACTIONアワード受賞) (rikunabi.com)

外食業界、物流業界の「激務」イメージを打ち破り、サステナブルで幸福な職場作りに挑む――「GOOD ACTION アワード」受賞・株式会社minitts、株式会社日東物流 | リクナビNEXTジャーナル (rikunabi.com)

事業内容|株式会社日東物流 (nittobutsuryu.co.jp)

【新連載!】二代目物流社長の“アタマ”のなか(第1回) │ LOGI-BIZ online ロジスティクス・物流業界ニュースマガジン

(3年 ゼミ生)

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