株式会社まるや八丁味噌

概要

株式会社まるや八丁味噌は1337年に創業され、岡崎に拠点を構えており、創業当初からの伝統製法を貫き通している歴史ある会社だ。主な業務内容は八丁味噌、調合味噌の製造販売であり、こだわりある伝統の味噌を顧客に提供している。代表取締役の浅井信太郎氏は、誰よりも当主が一番働かなくてはならないという考えを持っており、社会貢献や地元を上げるための活動などを自ら積極的に行っている。

では、この会社はどのような信念や目標を持ち、社会活動や労働を行っているのか、また、どのような問題と向き合いながら伝統を守り抜いてきたのか。これらを会社の特徴として、以下より述べていく。

まるや八丁味噌の三つの信念

まるや八丁味噌には、「質素にして倹約を第一とする」・「事業の拡大を望まず継続を優先とする」・「顧客・従業員との縁と出会いを尊ぶ」という三つの信念がある。これらの信念には社長の海外留学での経験が大きく関わっている。社長は日本での生活に閉塞感を感じ、世界を見てみたいという欲求からドイツへ留学した。ドイツ人の質素倹約・冷静沈着のイメージを参考にして、次々と新製品を開発するのではなく、今あるものを生かすという会社の信念が成立した。

「海外」と「地元」での挑戦

1968年にアメリカへの輸出をはじめ、翌年には北欧で売ったまるや八丁味噌は、現在では世界20か国で販売している。一般的に海外進出というと、現地に工場を作ったりするものであるが、現地ではなく、岡崎の杉桶で作ることを徹底している。

また、2007年には、三河産大豆と奥三河の天然水で仕込む「三河プロジェクト」を始めた。大豆は、西尾のマルミファームの協力で生産された大粒一等大豆、フクユタカを使用している。

八丁味噌というと名古屋を連想させることも多いが、地元に感謝をし、岡崎の地場産業として、今後も地元をテーマにした活動にも力を入れていきたいと考えている。浅井社長は次の世代がうまくいくための環境づくりや、企業として良い状態を継承することを義務として、伝統を未来へ繋いでいくために精進している。

SDGsへの取り組み

まるや八丁味噌は2030年のSDGs達成に向けて、「あふの環2030プロジェクト」へ参加している。「あふの環2030プロジェクト」とは食品や農林水産物の持続的な消費生産を一つの企業で行うのは難しいため、お互いの強みを組み合わせて2030年のSDGs達成を目指していくという取り組みである。

具体的な取り組みとしては、味噌作りで大切になってくる菌を守るため、木桶、味噌蔵を水で洗うことで菌に優しい環境作りをしたり、人工的に加温して早く熟成させるのではなく菌の力を借りる天然醸造での味噌作り、環境に配慮して作られた有機大豆を使った味噌作りを行ったりしている。また、大事に使えば長持ちし、味噌にも優しい木桶を使うことで桶師の伝統も守っている。

GI問題

長年に渡り八丁味噌の歴史を受け継いできた、まるや八丁味噌。しかし、2017年12月、農林水産省が地理的表示法のGI制度に基づいて、岡崎市八帖町の八丁味噌の製法と品質が異なる愛知県全域で生産される豆味噌を八丁味噌として登録したことで、その歴史に揺らぎが生じることとなる。GI制度とは、伝統的な生産方法や気候・土壌などの生産地の特性を産品の名称、ここでいう八丁味噌に知的財産として登録し、それらの生産業者・需要者の利益を守る制度である。この問題に対して、まるや八丁味噌は同じく八丁味噌の製造を共に行ってきたカクキューとともに、訴訟に踏み込んだ。当問題は今現在も続いており、まるや八丁味噌側の八丁味噌へのこだわり、作り手としての強い信念が伺える。

まとめ

以上から、株式会社まるや八丁味噌は、「この場所だからこそ」という地域性、「この会社だからこそ」という伝統性、「この製法だからこそ」という製法性、これら三つを守り抜く信念によって、現在も世界愛され続ける八丁味噌の製造を支えていると考えた。

参考資料

まるや八丁味噌 会社概要

まるや八丁味噌 社長インタビュー

まるや八丁味噌 サスティナブル(持続可能)な未来へ

「八丁味噌」GI問題

(向日ゼミ 2年)

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